大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員ががっくりくるシーン その3:学生同士が…

(院生A、B、そして教授との打ち合わせにて)
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教授「というわけで、A君の研究が行き詰まっている原因はここが問題じゃないかなとおもうんだよね」

院生A「確かにそれは僕も思ってました。でも、どうしても解き方がわからなかったんですよね。一週間前から院生室でうーうー唸ってました」

教授「その解き方はどんな方法でやろうとしてたの?」

院生A「ラプラス法を少し改良した式をたててやってみようかと思ってます」

教授「あぁ、それは悪くないね。重み関数にちょっと注意しながらやってみたら上手くいきそうだね」

院生A「わかりました! ありがとうございます。やってみます」

教授「さて、次はB君の研究報告だね……(Bからレジュメを受け取る)。どれどれ。あれ? なにこれ?」

院生B「どうかしましたか?」

教授「Bくん! きみの報告書には、つい今話してたAくんの問題が解いてあるじゃないか!」

院生B「はい。僕もそう思いながら、先ほどの先生とAくんとのやりとりを聞いてました」

教授「『聞いてました』じゃないよ! なんで近い目標をもってそれぞれが研究しているのに議論しないの?!(めちゃがっくり)」

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岡本(以下、):今回は、研究室内のグループミーティングの様子ですね。

宮野(以下、):はい。そうです。多くの研究室ではテーマごとにグループを分けてそれぞれがミーティングをするという形式をとっていますね。

:そのグループミーティングにおいて、AさんとBさんがコミュニケーションをとっていないことに先生はがっくりきてますね。

:これはかなりがっくりきますね……なぜなら、これは単なる情報共有の問題ではないからです。

:それは、もっと根本的なところになにか問題があるということですか?

:そうです。3つの論点で説明します。1つめは「他者への関心」です。A君は院生室で一週間もの間、この問題とうーうーいいながら格闘していたと言っています。つまり、おそらくB君はA君が悩んでいたことを認識していたことでしょう。それなのに声をかけなかったのです。

:あー、それは確かにちょっと寂しいかもしれませんね。

:でもB君だけに問題があるのではありません。A君もなぜ周りに相談しなかったのか? ということですよ。問題に対して自分で何とかするという精神は素晴らしいですが、世の中、一人で解決できることなんて知れています。

:なるほど。では2点目は?

:それは「研究というものの誤解」です。研究とは他者と対話してこそ深まっていくもの。結局のところ、A君もB君も、研究を「課題またはレポート」のような認識で捉えていたのではないでしょうか。噂ですが、とある研究室では私語禁止だそうです。正直に言って、その先生の方針は理解できません。そんなことをすると研究室内での議論が激減するでしょうし、人間関係の深まりも阻害されるのではないでしょうか?

:確かに、私語や雑談からこそ研究のヒントが浮かんでくるものですしね。研究の本来の目的を達成することを考えたら、自分の頭で考えるだけでなく、いろんな人と議論することが必要なことがあるということですね。では、最後の3点目、お願いします!

:それは、研究室の「チームとしての機能」です。研究室はある意味でひとつのチームと言えます。同じ目標に向かって奮闘する同志の集まり、それが研究室です。その研究室内でメンバーによる助け合いや自浄作用が働かないとしたら……それはチームとしてしっかり機能していないことになるのです。

:「研究室=チーム」ですか……確かにそうとも言えますが、研究室によっては、一人一人が別々の研究をしている場合もありますし、一概にチームとも言いきれないのでは?

:確かにそうですが、個々人が別々の研究をしている場合でも、その研究室の「研究に対する姿勢」や「目指すところ」といった抽象度の高いレベルでは研究室全員が一致しているべきです。そう考えると、広義の意味ではチームと考えられませんか? 教授の中には、「研究室は家族です」と言い切る先生もいらっしゃるんですよ!

:なるほど! 情報共有の問題に端を発して、チームとしての研究室にまで話が広がりましたね。みなさんも、ぜひ宮考にしてくださいね! ではまた次回~。

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