ほぼ日刊スタふブログ

研究を「自分ごと」に~実践女子大学槙研究室の事例より~

みなさまこんにちは、岡本です。
私は先日、修士論文の公聴会を終え、いよいよ学生生活もラストスパート感が色濃くなってきました。
今の時期はどこの研究室も卒業論文や修士論文の指導が大詰めまたは一段落したところ、いずれにせよお忙しそうです。
そんな中で研究室にお話を聞きに行くと、(先生も学生さんもお忙しいので恐縮ですが)研究室の雰囲気が分かりとても興味深いです。

今日は、先日お伺いした実践女子大学生活環境学科の槙究先生の環境デザイン研究室の事例をもとに、研究を「自分ごと」にしていくプロセスについてレポート&考えてみたいと思います。

    研究への最初の入り口

本プロジェクトでも度々取り上げてきたのが、「必ずしも研究を自分の生活の中心に位置づけていない学生の研究への関わり方」の問題です。
「今時の学生は○○だから、研究の面白さが分からないんだ(プンプン)」という先生の声もお聞きします。
でも、それを「学生の問題」としてしまうと、そこでおしまいです。
槙先生のお話の中には、学生と研究の関わりについて考えるヒントがたくさん盛り込まれていたので、それをちょっとまとめてみます。

まず、学部3年生の段階で、「先輩がどのような卒業研究をしたか」を先輩自身から聞く機会があるそうです。
また、研究室に配属される前の段階で、「セミナー」という授業の中で教員と一緒に現場(例えば建築物など)を見に行くこともあります。

…「それって大事なの?」と思われるかもしれませんが、学部の目線から考えてみてください。
いきなり「研究室のゼミに出て、研究したいこと(調べてきたこと)発表して」よりは、自分と立場的に近い先輩がどのような研究をしたのかから「研究ってこういうことなんだ」とイメージをつけたり、先生と一緒に実際に行動する中で、研究的にモノを見るとはどういうことなのかを伝えていく方が、ずっとスムーズに研究生活に入っていけるのだと思います。

    研究中の周囲との関わり

学生が研究を「自分ごと」として捉えるようになっていく上では、先生はもちろん、その他の周囲の人との関わりは重要です。

槙先生の研究室の空間的なデザインとして特徴的なのは、「先生と学生の部屋は同じ」がデフォルトの設計になっていることです。
お邪魔した日はちょうど卒業論文真っ最中の時期で、学生の方がパソコンに向かって作業をコツコツ続けていらっしゃいました。
カリキュラムとしては、学部4年生の前期には週に1回程度の研究の報告、後期に入ると「研究相談の日」として先生が研究室にスタンバイしていらっしゃる日が設けられるそうです。
また、学科としては「中間発表」として、他の研究室にも開かれた形で学生の研究を発表する機会があるそうです。
日常生活の中で先生とお話しする機会や、学科として学生の研究を支える体制は、ありそうでなかなかありません。

私が修士で行った研究でも関連する結果がいくつかあったのですが、「自分の研究は、周りの人から支えられている」という実感は、学生が自分の研究に満足感を感じながら取り組んでいく上で重要な要素です。

    研究そのもの以外を通じた研究へのアクセス提供

「研究へのアクセス」って何だ?という感じかもしれませんが、要は、場所なり活動なり、関わる時の入り口があることが大事なのだと思います。

槙先生の研究室では、学園祭に向けて、研究室の研究分野である建築、インテリア、プロダクト、衣服など身近な環境のデザインの知識を生かし、学園祭等で教室のカラーデザインや大学のイルミネーションに関するプロジェクトを結成するそうです。
また、大学としては珍しい(?)と思うのですが、実践女子大学では体育祭もあるそうでそれに参加したり、研究室での餃子パーティを開催したりと、いろいろな活動があります。

一見、こうした活動は「研究報告をちゃんとすること」や「卒論を書きあげること」には関連しないように見えるかもしれません。
ですが、研究室や大学がいかに学生の生活にとって「自分の場所」になるかが、最終的には研究を「自分ごと」として捉えられるようになっていく上で重要な第一歩です。

以下、槙先生から後にいただいたメールの中で、とても印象的なフレーズを、引用させていただきます。

(略)そういう状況で学校を、研究室を自分の居場所だと思ってもらえるか。それがキーだと思います。課題を、研究テーマを自分のものだと思ってもらえるかというのも、その延長線上にあるのではないでしょうか。「モチベーション」これが成果を生む最大の要素だと言われますが、生活環境を含め、「自分のもの」という感覚を持つことは、その第一歩だと(そして、相当強力なものだと)思います。

学校に来てもらう。これが大事だということになると、学校が楽しい場所である必要がある。仲間が集える環境は、そういう意味で大変意味があります。これまでの経験でも、いつも研究室にいるような学生が中心になったときは、成果も出やすい。(略)

*お忙しい中、お話を聞かせてくださった槙先生には、この場を借りて感謝申し上げます。

[岡本絵莉]

——————-お知らせ———————-
いきいき研究室増産プロジェクトで「研究推進と人材育成のポジティブな関係を考えるフォーラム開催!!!
2010年323日(火)14:0017:00
東京大学本郷キャンパス
詳細はこちら

Discussion

No comments for “研究を「自分ごと」に~実践女子大学槙研究室の事例より~”

Post a comment

私たちは『いきいき研究室 増産プロジェクト』を応援しています