大学研究室の歩き方講座

【スキット】「しっくりこない打ち合わせ」によくある風景

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院生「学会の前刷り、〆切が近いですよね、やばいっすよね……」

教授「そうだね」

院生「この実験の結果がいまいちなんですよね……あと、あの解析もまだですし……」

教授「確かに、色々考えないといけないね。結果のまとめ方とか見せ方とか」

院生「どうしたらいいんでしょうか……」

教授「例えば、○○というストーリーはどうだろう? そうすれば、現状の結果でも一本の筋につながるんじゃないかな」

院生「ですねえ。でも、そのためには△のデータが必要ですね。その結果はまだ実験で得られていないんすよねえ……」

教授「(……彼は、意見を求めに来ているのだろうか? それとも、時間をつぶしにきているのだろうか……?)」

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:これは確かにしっくりきてませんね(笑

:しっくりきてませんね、学生も教員も。ちょっと厳しい教員なら、この時点でお怒りモードに突入していると思います。

:それ、私も思いました! この先生は、優しいのですね。

:それは違います。教員もどうしていいのか分からないのです。正確に言うと、どうしていいのかは分かっているのですが、「学生にどう伝えればいいのか」が分からないのです。

:なるほど……では、こんなとき、先生はどうすればいいのですか?

:はい、そこで出てくるのがこのマジカルワードです。

「質問会議」

次のスキットをご覧下さい。

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……

教授「確かに、色々考えないといけないね。結果のまとめ方とか見せ方とか」

院生「どうしたらいいんでしょうか……」

教授「君はどうなったらいいと思う?」

院生「うーん、○○といったストーリーにしてはどうかと思うのですが、それには△のデータが追加で必要になるし……ちょっとわかりません」

教授「じゃあ、最高のストーリーとしては、どんなものをイメージしているのかな?」

院生「それはもちろん□□というストーリーですよ。これなら当初から考えていた目標に達することになりますし、聴衆にもインパクトがある研究になると思います」

教授「なるほど、じゃあ今のところ○○と□□の選択肢があるんだね。前刷り提出までの時間を考慮すると、どっちをやったほうがよいだろう? あるいは、どちらも無理かな?」

院生「そうですねえ……□□の実験はあと12回やれば成功か失敗かの判断はつきます。そちらを確かめてから、△△を試してもいいかもしれません」

教授「いいんじゃないか、それで。一度頑張ってみてよ」

院生「はい、わかりました!」

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:おーー! なんかスムーズにいきました!

:ここで注目してほしいのは、「教員は質問しかしていない」ということです。これを私は「質問会議」と呼んでいます。

:あ、ホントだ! 先生は何も指示していないのに、打ち合わせがまとまっている!

:そこがポイントです。人は他人から言われたことよりも、自分で決めたことの方が積極的になれます。なんといっても、自分自身で決めたことですからね。打ち合わせを質問会議にすることで、学生自身が考え、気付き、行動することができるんです。

:素晴らしいですね! でも、ちょっと難しそうです。何かテクニックなどが必要なのでしょうか?

:そんなことはありません。必要なのは「我慢」です。教員はすぐに教えたがる。でも、それは学生のためにもならないし、ひいては教員自身のためにもなりません。

:それはどういうことでしょう?

:単に研究を進めたいのであれば、教員自身がやるか、研究員さんを雇って研究をやってもらう方が効率的です。それを敢えて学生にやってもらう意味はどこにあるのでしょうか? それは「可能性」に尽きます。

:可能性、ですか。

:学生に考えさせ、実行させ、右往左往させることで、学生は成長します。これを我慢強く続ければ、自分で考え、行動する人材が育ちます。そういう若い人材と研究することこそが、自分だけでは成し得ない、思いもよらない研究成果を生み出すのです。なんてったって、学生の可能性を研究に加えるのですからね!

:なるほど、何だか私も自分の可能性を試したくなってきました! 皆さんも是非試してみてください!

●○●○●○●からの補足:質問会議の要点●○●○●○●

●指導か? 質問か?

「学生への指導」と「学生への質問」とは本質的に対立します。ティーチングとコーチングの対立です。この対立をどう解決するか? それには、これは時期によって両者のバランスを変えることが有効だと思います。

例えば、研究室に所属したばかりの頃は「ティーチング10、コーチング0」のバランスとする。学生の成長にあわせて徐々にコーチングの割合を増やし、最終的に「ティーチング1:コーチング9」ぐらいにできれば理想かと思います。ま、そうは簡単にいかないものですけどね。

●誘導尋問はNG

一番まずいのは、誘導質問です。学生が「先生は結局、自分のやりたい方向に誘導しているだけなんだ」と感じては、教育の意味が全く無くなります。では誘導尋問を避けるにはどうすれば良いでしょうか?

それには、「質問を選択肢の形で出さない」などの細かいテクニックはありますが、やはり、「学生に任す!」という広い心構えが最も重要です。学生の考えが間違っていると思っても、多少のことは我慢しましょう。この一時の我慢がのちのち、学生の成長となり、2倍のメリットで返ってきます!

ただ、どうしても譲れないところはもちろん指示しましょう。学術的におかしい考えや、既に過去に試されたアイデアなどはきっちり指摘し、議論をした方がよいと思います。

ま、簡単に言うと、「ビジョンはしっかり議論し,あとは任す!」という感じでしょうか。私もまだまだ修行中ですので、一緒に頑張っていきましょう!

院生「学会の前刷り、〆切が近いですよね、やばいっすよね……」

教授「そうだね」

院生「この実験の結果がいまいちなんですよね……あと、あの解析もまだですし……」

教授「確かに、色々考えないといけないね。結果のまとめ方とか見せ方とか」

院生「どうしたらいいんでしょうか……」

教授「例えば、○○というストーリーはどうだろう? そうすれば、現状の結果でも一本の筋につながるんじゃないかな」

院生「ですねえ。でも、そのためには△のデータが必要ですね。その結果はまだ実験で得られていないんすよねえ……」

教授「(……彼は、意見を求めに来ているのだろうか? それとも、時間をつぶしにきているのだろうか……?)」

院生「学会の前刷り、〆切が近いですよね、やばいっすよね……」

教授「そうだね」

院生「この実験の結果がいまいちなんですよね……あと、あの解析もまだですし……」

教授「確かに、色々考えないといけないね。結果のまとめ方とか見せ方とか」

院生「どうしたらいいんでしょうか……」

教授「例えば、○○というストーリーはどうだろう? そうすれば、現状の結果でも一本の筋につながるんじゃないかな」

院生「ですねえ。でも、そのためには△のデータが必要ですね。その結果はまだ実験で得られていないんすよねえ……」

教授「(……彼は、意見を求めに来ているのだろうか? それとも、時間をつぶしにきているのだろうか……?)」

院生「学会の前刷り、〆切が近いですよね、やばいっすよね……」

教授「そうだね」

院生「この実験の結果がいまいちなんですよね……あと、あの解析もまだですし……」

教授「確かに、色々考えないといけないね。結果のまとめ方とか見せ方とか」

院生「どうしたらいいんでしょうか……」

教授「例えば、○○というストーリーはどうだろう? そうすれば、現状の結果でも一本の筋につながるんじゃないかな」

院生「ですねえ。でも、そのためには△のデータが必要ですね。その結果はまだ実験で得られていないんすよねえ……」

教授「(……彼は、意見を求めに来ているのだろうか? それとも、時間をつぶしにきているのだろうか……?)」

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One comment for “【スキット】「しっくりこない打ち合わせ」によくある風景”

  1. [...] スキットのシリーズは秀逸です: 【スキット】「しっくりこない打ち合わせ」によくある風景 [...]

    Posted by いきいき研究室フォーラムのお知らせ – aki note | 3月 5, 2010, 5:57 AM

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