大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員がイヤな言葉その6:時間がありません


院生「・・・というのが今の状況ですね.」

教員「おー.いいんじゃない.あと,○○というアプローチ方法も考えられるね.もしそれをやった場合,□□という全く新しい知見が得られるんじゃない!これはスゴイ修論になるんじゃないかな!」

院生「確かにそうですね.いいかもしれません.でも,今からそれをやるとなると,あと半年しかありませんしちょっと時間がありません.」

教員「時間?いっぱいあるじゃないか.」

院生「本研究室で初めての実験になるので,トライ&エラーは幾度も繰り返さないといけないでしょうし,もし失敗していいデータがでなかったらちょっと無駄になりますし...」

教員「なんだと!学生がそんなこと考えるじゃないよー!」


岡:・・・私には学生さんの発言にとくに怒る理由が分からないのですが.これはどうゆうことなんですか?なぜノリノリだった先生が急に怒るモードに変わったのでしょうか?

宮:これもサイエンティストとしての特性が色濃く出ている非常にいい例と言えます.教員はとにかく「研究進展が第一優先!」なんですよ.もうマッドサイエンティストなんですよー.

岡:あー.だんだんわかってきました.寝食を忘れて研究に費やした時代がある先生にとって,時間がないという理由は愚問なんですね.

宮:そうですそうです.もしこれをやったら新規性の高い知見が得られる!その為に邁進するーー!時間がないだぁ??時間は作るものだ!試さないよりは苦労してでもいい結果がでたほうが断然いい!トライだ!チャレンジャーなんだ! という思考です.

岡:ちょっと誇張しているのでしょうけど,とにかく前向きなんですね..笑 スキットにある「学生がそんなこと考えるな!」という台詞を解説していただけますか?

宮:一言でいうと「学生であるのに守りに入ってどうする!?」ということです.別に生活がかかっているわけでもない学生がチャレンジ精神を忘れてどうするんだ!ということです.

岡:それは共感できますね.でも,学生はなぜ弱気なのでしょう.

宮:とても良い質問ですね!これに応えるには教員と学生の深いギャップについて説明しないといけません.なんだかんだ言って実験は大変です.準備も大変, 実験そのものも大変,そしてデータを取ったあとも解析をしないといけない.. そして,いいデータを取るためにはやっぱり失敗が必要なんです.1,2度失 敗して3度目にやっと結果がでるといのもざらなんですよ.その苦労を教員はすっかり忘れてしまっているのです.なぜなら現場から離れて長い時間がたってま すから,楽しかった成功体験のみが明確に脳に刻まれています.

岡:現場と司令部との意識のギャップですか.

宮:事件は現場で起こってます.解決のヒントも現場,新しい研究の芽も現場にあります.それを忘れては本質をついた研究は決してできません.でも,同時に 僕は教員の「攻めの姿勢」もひじょうーに納得できます.人生において失敗してもよいという体験は学生時代にしかできないからです.それを活かさずに真の成 長はありません.

岡:ちょうどその中間をとる方法はないのですか?

宮:そこで今回のマジカル・メソッドです!

できる限り

岡:できる限り,ですか...?

宮:はい.まずはスキットをご覧下さい.


院生「・・・というのが今の状況ですね.」

教員「おー.いいんじゃない.あと,○○というアプローチ方法も考えられるね.もしそれをやった場合,□□という全く新しい知見が得られるんじゃない!これはスゴイ修論になるんじゃないかな!」

院生「確かにそうですね.いいかもしれません.でも,今からそれをやるとなると,あと半年しかありませんしちょっと時間がありませんね.でも,その結果がでると投稿論文にも出せる気がします.できる限りやってみます.」

教員「そうだな!いろいろやることも多いと思うけど,がんばって.いつでも相談に来なさい」


岡:すばらしいですね!先生が応援してくれていますよ!

宮:はい.「できる限り」は「やります」とは違います.つまり,出来ない可能性も十分にあるという意味合いも含まれています.それでいて,すごい努力をするという印象も相手に与えることが出来るすばらしい言葉なんです.

岡:これはすごい!仮にできなくても約束をやぶったことにあたらないというわけですね.

宮:もちろん,学生もそういった以上は「できる限り」やれることはやるでしょう.さらに,そう言い切った場合,逐一先生に報告することをおすすめします. 小さなことでもいいのです.そうすると教員は,「お.ちゃんとやってるな!」と安心します.その学生を信頼するようになります.

岡:先生から信頼させると,その学生の発言力も増し意見が通りやすくなる.そして,自分の思いどうりの研究ができるってことにつながりますね!

宮:はい!これがWin-Win関係というわけです.なお,もう一つうえの”できるヤツ”なら,新しいアプローチ方法を踏まえた研究計画と研究ストーリー を作成し,1週間以内に先生と再度うち合わせをするでしょう.一週間以内というのはキーですから,お忘れ無く.早ければ早いほど信頼感は増します.

岡:みなさんぜひ使ってくださいね!

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