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横浜国立大学 大学院 環境情報研究院 / 環境情報学府 中野研究室

今回は、横浜国立大学大学院 環境情報研究院/環境情報学府 中野研究室の中野健先生にヒアリングを行いました。
(研究室のホームページはこちらhttp://davinci.jks.ynu.ac.jp/index-j.htmlです。)

岡本(以下、岡):『まず最初に、先生の研究室運営について教えていただけませんか?』
中野先生(以下、中):『専用の個室もあるのですが、僕は敢えて学生室にメインデスクを置いています。学生室に常駐す ることで学生たちと気軽にコミュニケーションが取れるし、彼らとの間に程良い緊張感も生まれます。着任当時は初めて個室をもらえて嬉しかったので、個室に 入って研究していました。当時は彼らがなかなか質問に来ないので、僕の方から学生室に出向くようにしていました。でも、やっぱり限界を感じたので、あると き思い切って学生室に引っ越したんです。「学生から先生のところに来る」というのはハードルが高い行為ですし、「要点を整理して話さなければ」と考えて躊 躇する学生もいます。それはそれで良い訓練かもしれませんが、元気の良い学生ばかりではないですから。同じ部屋で一緒に研究していることで、彼らが行き詰 ればすぐに相談できる状況が生まれ、研究のスピードが飛躍的に上がりました。部屋は、10人くらい入れるオフィスと実験室が一緒になった大部屋ですが、自 分はいちばん環境の悪い隅っこに座り、彼らにはデスクトップパソコンを使わせるが自分はノートパソコンを使う等、「先生」という威圧感をあまり与えないよ うに配慮しています(笑)。』

岡:『研究室はどんな雰囲気なんですか?』
中:『研究室の中では雑談もOKですし、僕自身もよくジョークを言って和気藹々としています。真剣な中にもウイットっ て大切だと思っていますから。でも彼らは、僕が越えて欲しくないと思っている一線というのをよく理解していますね。例えば日中の研究室で漫画を読むなんて ことは、絶対にありません。僕も彼らも、研究の大切な時期には研究室に泊り込むことがよくあります。何時から何時までは研究室にいないといけない、と決め ている訳ではないのですが、みんな基本的に研究室にいますね。巷では「不夜城」と呼ばれているとか(笑)。』

岡:『先生と学生さんって、どういう関係なんですか?』
中:『学生たちと自分との距離感は、大切なポイントですよね。信頼関係があればどんな厳しい議論にも彼らはついてきて くれるし、信頼関係は程良い距離感から生まれます。ただ、僕は彼らから「中野さん」と呼ばれているし、僕は彼らのことをあだ名で呼んでいますよ。研究室の 一期生や二期生には「中野先生じゃなくて中野さんでいいよ」と言っていましたが、今では配属されてきた4回生も自然に「中野さん」と呼んでいます。僕自身 の恩師の木村先生とは年が離れ過ぎていたこともあり、先生のことを「木村さん」とはとても呼べませんでしたが、木村先生からは「ケン」と呼ばれていたこと もあって、当時から呼び名は大切だと感じていました。また、ダーツが学生との共通の趣味なので一緒にすることもあるし、一緒にご飯を食べに出かけることも よくあります。研究室対抗ソフトボール大会にもよく出ていたのですが、最近はさすがに忙しくて、参加できなくなってしまったのは残念です。研究では、学生 たちにあれこれ口出しするだけの評論家ではダメで、「先生も同じように取り組んでいる」という研究者の姿を実際に見せることが大切だと思っています。僕の 研究室の学生たちは、僕が研究に没頭する姿を見て、ついてきてくれていると思います。彼らに確かめたことはありませんが(笑)。』

岡:『研究室のゼミは、どんな雰囲気ですか?』
中:『毎週月曜日の午後3時から「ティータイム輪講会」という名前のゼミを開催しています。お茶でも飲みながらリラッ クスして、という思いを込めたネーミングです。僕自身は日頃から各学生の研究内容を把握しているけれど、彼らがお互いの研究内容を知る機会としてゼミは大 切だと思っています。ゼミの主役は学生ですから、僕はいつも一番後ろの隅の席に座ります。まず学生全員が数分程度の近況報告をして、毎回3名程度の担当者 が、各自準備した資料を使って研究の詳細を報告します。ゼミでは研究の基礎的な部分から徹底的な議論がなされるので、気がつくと夜11時を過ぎてしまって いることも少なくありません。最新の論文を読む作業は各自でやってもらっているので、全体のゼミではそういう機会は設けていません。』

岡:『研究室の外部と交流する機会は多いですか?』
中:『学会や連携企業とのミーティング等、研究室外との交流の機会は積極的に設けています。研究室の外の世界を知るこ とで、初めて自分の研究室の個性を認識することができますから。原点なしでは自分の研究の独創性すら真に理解できないわけです。具体的には、各地で開催さ れる学会にはできる限り学生を連れて行って、研究発表はもちろんですが、他の大学の学生さんと交流する機会を設けたり、連携企業とのミーティングにも学生 を同席させたりするようにしています。もちろん先方には事前に「学生も同席して良いか」と確認するのですが、断られたことは一度もありません。また、学会 の前には発表者のプレゼン練習のために全員が集まり、プレゼンに対していろいろコメントします。そのときには、まず発表者以外の学生たちにコメントを求め て、僕はできる限り最後にコメントをするようにしています。彼らにとっては客観性を養う絶好の機会ですからね。』

岡:『学生さんのモチベーションを向上・維持させるための工夫ってありますか?』
中:『常にポジティブなイメージを学生と共有すること、それに尽きると思います。彼らには「短期・中期・長期の3種類 のプランを持て」とうるさく言っています。目先の短期プランは必然的にできてしまうものですが、中長期プランは自分で意識しないとできません。中期プラン は研究の夢、長期プランは人生の夢、例えばそんなところでしょうか。辛い状況に陥ったときに自分を支えてくれるものは、中長期プランですよね。「将来のこ の夢のために今がんばろう」、それがモチベーションの向上と持続につながると思います。学生には、「この研究分野でお前が第一人者になれ」と日頃から言葉 にして伝えています。実際にみんな優秀ですから、僕の言葉を信じて心底からその気になれば、第一人者になれると思います。』

岡:『研究室のOBとのつながりはある方ですか?』
中:『OBネットワークは盛んな方だと思いますよ。週末にはOBが研究室に遊びに来てくれることもよくあるし、OBを 交えた研究室旅行も年に一度は必ず開催しています。卒業記念パーティには毎年たくさんのOBが参加してくれています。OBを交えたゼミも是非やりたいと 思っていますが、一期生のOBですら入社して数年程度なので、自分自身のことで精一杯な時期だと思うし、まだ実現できていませんね。研究室のOB同士は 言ってみれば兄弟・姉妹のような関係ですから、現役の後輩たちを含めて、これからもずっと仲良く協力して、切磋琢磨してくれたら嬉しいですね。』

岡:『研究室の運営で苦労することはありますか?』
中:『研究室にスタッフが僕一人なので、全ての業務を自分でこなさなければならないのは大変ですね。会社で言えば、社 長、秘書、人事、会計、広報など、全て部署の仕事を一手に引き受けているようなものですから。すべての方面に才能があるわけでもないですし。特に事務仕事 は大の苦手です。ホントに驚くほどダメなんですよ(笑)。でも、学生には自身の研究のために時間を使って欲しいので、事務仕事の分担は基本的にしないよう にしています。』

岡:『ありがとうございました。最後にプロジェクトに何かメッセージがあればお願いします。』
中:『僕とは全く異なるカルチャーの研究室に興味があります。自分には思いもよらなかったような発想があるかもしれませんね。今までになかったプロジェクトですから、とても期待しています。がんばってください。』

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