大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員をいらっとさせる場面 その6:~メールの主張がわからない~

教員(ひとりごと):「お、●●くんからメールが来てる。●●くんには今日中に△△の調査をするように言っていたんだった。さて、結果はどうだったんだろう。」

「ぽち:メールを開く音」

(件名)調査のこと
(本文)お はようございます。先生から依頼されていた△△の調査のことです。調査したところ、△△に関する本はたくさんありました。読んでみると、△△は結構いろい ろな場面で使われてはいるのですが、価格が高いので普及はいまいちのようです。また、うちの研究室で開発している××に比べると部分的に性能も上みたいで す。以上、確認をお願いします。

教員「がーん.・・・小学生の返答じゃないんだから,こうゆう報告はやめてほしい!」


岡:内容から推測すると、研究室で開発しようとしているものの類似製品について、院生が調査した結果のメールみたいですね。本当は「怒るメール内容」というシリーズのはずなのに、先生は怒りを通り越してがっくりしてしまったようです。

宮:こんなメールが来ると先生ががっくりしてしまう気持ちも分かります・・・。

岡:でも,学生さんはちゃんと報告しているじゃないですか?どこががっくりくる箇所なんですか?

宮:はい、まず件名が分かりにくいと思いませんか?「調査のこと」の「こと」って何? 抽象的すぎるので「調査の結果」を報告するメールなのか、「調査に 障害発生」を伝えるメールなのか、「調査について質問」のメールなのか分かりませんよね。このような件名を読んだだけで,もうがっくりきます..読み手の ことを考えていないんだなあって.

岡:確かに・・・。では本文についてはどうですか?

宮:本文についても言いたいことはいろいろあるのですが、、、では、じゃーん!今日のマジカル・メソッドをどうぞ!

起転結

岡:起転結,ですか...? これって起承転結の承が抜けてる?!

宮:はい.物事を報告するときは単に結果を言うだけでなく「起(承)転結」を心がけるという意味です.まずはスキットをご覧下さい.


教員(ひとりごと):「お、●●くんからメールが来てる。●●くんには今日中に△△の調査をするように言っていたんだった。さて、結果はどうだったんだろう。」

「ぽち:メールを開く音」

(件名)調査結果の報告
(本文)おはようございます。先生から依頼されていた△△の調査の結果について報告します. <調査方法> 研究室で開発中の××との比較が目的ということだったので、用途・性能・価格について、以下の書籍とウェブページを用いて調査しました。『書籍名-1』『書籍名-2』『ウェブページ-1』『ウェブページ2』 <結果>
用途:△△は主に「~~」や「~~」という分野で使われています。
価格:単価は◎◎円で、研究室で開発中の××に比べて格段に高価です。主な使用現場である「~~」にとっては高価格なので普及が進んでいないという指摘が多くありました。
性能:反応精度に関しては、96%なので、うちの研究室で開発している××に比べて高性能です。

<提案> う ちの××は価格面では優位ですが、反応精度は劣っています。適用分野によってはこうしたものが求められている場合もあると思うので、また次回の研究会で発 表して議論してはどうでしょうか。今回の調査の途中で調べた「~~」という分野は、僕の研究とも関係がありそうで、新しいアイデアがわきました。次回の研 究会後に相談させてください。

教員「なるほど、良く分かった。次回の研究会でちょっと議論してみようかな。おっと、●●くんにさっそく返事を書かなくては!(喜」


岡:すばらしいですね!先生にきちんと伝わったようですね!

宮:めでたしめでたしです。今回は少し細かめに解説してみましょう。まずこのメールでは、冒頭で「何のための調査なのか」ということをさらっと書いています。

岡:「開発中の××との比較が目的」という部分ですね。

宮:そうです。ここで、教員と前提を共有するわけです。自分で言っておいて、「え~っと、何のための調査だっけ」と言う教員もいますからね(笑)。

岡:それはそれで問題だと思いますが(笑)。でも、結局は相手にちゃんと伝えるための思いやりってことですね。

宮:おっしゃるとおり!「何のための調査なのか」ということを考えれば、調査の項目も自ずと分かるので、「用途、価格、性能」と言った箇条書きも自然とできちゃうわけですし。

岡:それが「起」なんですね。

宮:そうです。そして「転」にあたるのが本文、「結」がメールの後半です。「調査の結果、自分はこう思った。だから、こうしてはどうか。」という主張をバシッと書いてます。

岡:でもこういう提案をするのって、勇気がいりますよね。

宮:主張自体が間違ってたっていいんです。教員はそういう院生の姿勢自体もちゃんと見てますから。さらにこのメールでは、たとえ言われた調査であっても自分の研究に役立つことを見つけてやろうという、院生ハングリー精神が表れているのもポイントです。

岡:ところでなぜ「起転結」なんですか?承は?

宮:このくそ忙しい現代「承」もいれると過剰だ!(前)+(中)+(後)で充分! この3段構えを意識することが大事.例えば・・・

背景+目的+結果
現状+原因+対策
概要+詳細+予定

岡:なるほど! 報告がとても明快になるような気がします.これは何にでも使えそうですね!みなさんぜひ使ってくださいね!

今回の学び For 教員

昨今,学生とのやりとりはメールが50%以上を占めるのは私だけではないはず! メールの書き方は見よう見まねで学んできましたが,初めての学生に は一から教える必要があるでしょう.学生からのメールで「あ.これはいいメールだ!形式的にも内容伝達力も!」っていうのに出会えば,それを保存しておく んです.そうして「これを参考にしなさい」って研究室にながす.たった1度の作業で,あなたのいらいらはもうなくなりますよ!

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