スキット: 教員がガックリくる言葉その2(学会発表のリハーサルにて)
院生「・・・以上で発表を終わります.いかがでしょうか?」
教員「はっきりいって全然わからないよ!」
院生「はぁ..」
教員「ごちゃごちゃしすぎてて何がいいたいのか全くわからない。その結果からだとその結論にはならないでしょう?論理が飛躍しすぎているよ。それになんか細かいことをこちょこちょ言いすぎだし、とにかくこのままの発表ではダメだよ!」
院生(いったいどこをどうなおしたらいいのだろう・・・泣)
岡:これはつらいシーンですねぇ。実際によくあることですか?
宮:ありますあります。おそらく全国8割の院生はこうゆう体験をしているかと思います。こういわれると,本当に困るんですよ..学生は.
岡:どこを直したらいいのかわからないですものね.
宮:それに加え,そもそも「どういう発表が良いのか?」という目標とする発表のイメージがないことが主要な原因です.学生は学生なりにめいっぱい伝える努 力をした発表と思って発表しているわけですから.スキットでは教員が「ごちゃごちゃしている」といってますが,学生にとっては極めてすっきりしてたつもり なんです.
岡:あー.なるほど...この学生さんと先生のギャップはなぜ生じるのでしょう?
宮:一言でいうと,「経験の差に起因した客観性の有無」といえます.当然ですが教員の発表経験は数えきれませんし,様々な研究会に参加していろんな研究者 の発表もごまんと聞いているわけです.その結果,教員には「わかりやすい発表の論理展開」「伝わる発表の論理展開」が身につけているのです.それにくらべ ると学生の経験はゼロに等しい.
岡:経験の差を問われると,ちょっと学生さんたちにとっては厳しいですよね.
宮:なお,教員に「全然わからない」と言われたときには一般的に次のパターンに分けられます.
1)内容が発表としての最低レベルを下回っている
2)教員がもつ発表のイメージ像と大きく違う
3)教員の機嫌が悪い
岡:な,なるほど.それぞれのパターンによって対処法は異なりますか?
宮:基本は一緒です.そのリハーサル後のやりとりにおいて「教員がわからないのはどこなのか?」という詳細情報をいかに入手するか?につきます.
岡:その為のマジカル・メソッドがあるのですね!
宮:今回はこちらです!
オウム返し
岡:オウム返し,ですか...?
宮:はい.まずはスキットをご覧下さい.
院生「・・・以上で発表を終わります.いかがでしょうか?」
教員「はっきりいって全然わからないよ!ごちゃごちゃしすぎてて何がいいたいのか全くわからない。その結果からだとその結論にはならないでしょう?論理が飛躍しすぎているよ。それになんか細かいことをこちょこちょ言いすぎだし、とにかくこのままの発表ではダメだよ!」
院生「つまり,この発表ストーリーではわかりにくいということですか?」
教員「ストーリーもそうだしさぁ... 例えば,そのスライドは本当に必要なの?」
院生「このスライドがストーリーに沿ってないということですね.では,例えばこのスライドが無かったとしてこれこれこうゆうストーリーだったらどうでしょうか?,」
教員「まあ,そうするなら,あのスライドの内容もこうしないとだめだよ.」
院生「分かりました.ではご意見をふまえて再度リハを行います.. なお,先生に見ていただく前に先輩にも見てもらってからにしますね.」
岡:すばらしいですね!見事,先生から詳細な修正箇所を引き出しています!
宮:「オウム返し」とは,教員の言った言葉をそのまま先生に返すという意味です.その際,単に言い返すのではなくヒートアップしている教員の言葉からトゲを抜き,建設的なコメントの確認として返すのです.
岡:それによって先生も具体的なコメントを返してくれるわけですね.
宮:そうですそうです.教員に「全然分からない」と言われたとき,とにかくまず学生は先生に納得してもらえていないのは「発表のストーリー」なのか?それ とも「研究の内容そのもの」なのかを知る必要があります.今回のスキットでは教員は「発表のストーリー」に納得がいかないという状態でした.
岡:研究そのものに納得いかない場合について,もう少し詳しく.
宮:例えば,研究目標を達するための目的が間違っている場合,および,そのためのアプローチ方法が正しくない場合などがあげられます.具体例で言うと 「○○を作成する!ことを目的としているのに実際にやっているのはそれをつくるための材料を研究している」とか「○○の実験を行っているけど,それは今回 の発表ストーリーには不要」など.
岡:なんだか難しいですね..せめてここだけは注意して!という箇所はありますか?
宮:ずばり,「背景」と「目標,目的」ですね.ここさえしっかりしていれば8割は成功したと思っていいでしょう.つねに,「第三者がこの背景と目的を見たときにどう思うだろう?」という視点でつくることが大切.
岡:他には?
宮:学生はよく実験結果をいっぱい出すことが大事と思いがち.順番も考慮することなしにあれもこれものせちゃうことがおおい.大事なのは論理展開です.ストーリーです.
岡:わかりました.でも,そもそも的確なコメントをしない先生にもどうかと思いますが...
宮:おっしゃるとおり!!! ところが,これもまたサイエンティストとしての習性が色濃く出てます.基本的にサイエンティストは芸術家,アーティストで す.パッションで動きます.なので,こうゆうスキットの場合,感情が先走ってしまうのですね.「全然わからない!!」とはいいませんが,この穏和な僕でさ え「げ...マジやばい.どこから手をつけよう...」といった発表がたまにあるんです(笑).こうゆうときは得てして「その発表内容,身内はわかるけど 第三者には絶対に伝わらないよ~」というパターンです.
岡:先生の特性を理解した先回りの対応,これで学生も教員もWin-Winですね!
宮:なお,一つ上の”できるヤツ”なら,事前に先輩に見てもらうとか,なんなら,リハサールの前に直接先生に一度見てもらうという手もあります.案外,先生はうれしいモノですよ.
岡:みなさんぜひ使ってくださいね!
今回の学び For 教員
上記のスキット,悩ましいですよね..本当にどこから手をつけようかっていう発表はありますよね.ちょっと精神論になりますが,そうゆう発表にでく わしたときは自己反省してしまいませんか?(笑 「あー 全然彼に伝え切れていなかった.普段から発表の仕方を教えていなかったせいだ..」と. とにか く,あまり一度に大量のコメントは言わず,あと3回のリハで完成に持って行けばいいといったようなステップを意識して学生に指示したほうがいいかと思いま す.彼のキャパを越えた指示は絶対に反映されませんしね.人材育成に王道無し.どろくさくいきましょう.





Discussion
No comments for “【スキット】教員がガックリくる言葉 その2:全然わからないよ”