大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員がイヤな言葉その8:一ヶ月間の夏休みをとりたいのですが・・・

スキット: 教員がイヤな言葉 その8


院生「・・・以上でうち合わせは終わりです.ところで先生,ちょっと夏休みの話しなんですが・・・」

教員「ん?」

院生「来週から一ヶ月間東南アジアに行こうかと計画しています.」

教員「・・・・いま,な,なんと?」

院生「M2ですし,学生最後の夏休みなので...」

教員(M2だからこそ研究が大事じゃないのかぁ~~ 泣 研究はどうなるんだぁーー)


岡:今回は学生さんにとっては登竜門の内容ですね.

宮:そうです.教員にとっても極めて重要なシーンなんです! 今回のスキットにはなみなみならぬ力が入ってます.

岡:しかし,別に夏休みだからどこにどれだけ行こうが彼の勝手じゃないんですか?

宮:学部学生にとってはそうだと思います.しかし,大学院生はちょっと違いますよー.夏休みに「授業」はないですけど「研究」はできますし,その研究こそが大学院生の本分なのですから.

岡:そういわれればそうですね.一般的に院生さんはどのくらい夏休みをとるのですか?

宮:回答が難しいですが,だいたい1週間前後じゃないでしょうか.指導教員によっては,1日だけとか...

岡:えー それはきついですね.

宮:教員にはとにかく研究を進めたい!という欲求があるのです.そしてその欲求は「研究が好き!」という感情から生じているのです.これこそがサイエンティストとしての特性なんです.

岡:なるほど.そのサイエンティストの特性と院生の気持ちがかみ合っていないんですね.

宮:そうなんです!ここで教員の思考の整理をしておきます.

研究第一!
だからそれを一ヶ月もほったらかしにするなんてありえない!
学生は研究でやり遂げたい!もっといい研究したい!と思わないのか!?

宮:このような思考をもつにはわけがあります.それは教員という人種がそもそも研究大好き人間だからなんです.彼が大学院生の頃,きっと夏休みは一日もとらずに研究ばかりしていたはず! だってその結果として,今大学教員になっているわけですからね.

岡:あ!まさにそうですね.そうゆう研究大好き人種が夏休みを一ヶ月もとる人を理解できるわけがない.いったい,どうしたらいいのでしょうか?

宮:そこで,このマジカル・メソッドを!

メリハリ

岡:メリハリ,ですか...?

宮:はい.まずはスキットをご覧下さい.


院生「・・・以上でうち合わせは終わりです.ところで先生,ちょっと夏休みの話しなんですが・・・」

教員「ん?」

院生「来週から一ヶ月間東南アジアに行こうかと計画しています.」

教員「・・・・いま,な,なんと?」

院生「もちろん来週はまだ大学におりますので,授業もないことですし毎日泊まりこむ覚悟で研究をやる計画です.すくなくとも○○の実験とそのデータ解析までは絶対にやっていこうと.そして,出発前にはそのデータに加え,夏休み後の研究計画を作成して先生にお渡しします.」

教員「かなり意気込みがあることは伝わるが・・・ さすがに一ヶ月間となると・・・」

院 生「実は長年の夢だったことなんですが,学部生のときは行けなかったんです.この夏が学生最後の休みですし,先生にご心配をおかけするのは申し訳ないです が,僕自身ももちろん研究を熱意もってやりたいですし,心おきなく研究に熱中するためにもここでメリハリつけて長年の夢を達成しておきたいと考えた次第で す.」

教員「わかった.じゃあ,それまでがんばって!それに気をつけて行ってくるのだぞ!」


岡:すばらしいですね!先生認めちゃいましたよ!

宮:このメリハリには不思議な効力があります.まさにマジカルです.結果として旅行に行くのは変わりませんが,なんとなく研究もがんばる!という感が伝わってしまうのです.

岡:でも,実際にこの学生さんは研究をがんばるって宣言してますよね.その効果で先生も旅行を納得したのではないでしょうか?

宮:もちろんそれも大事なのです.このサイトは院生に効果的な教員とのWin-Win関係を構築する努力をしてほしいというねがいのもとにあります.つまり,院生にとっても本分である研究をおろそかにして欲しくない.そうゆう気持ちを伝えたいわけです.

岡:単に「教員をごまかす方法」を伝授しているわけではないと言うことですね.

宮:おっしゃるとおり!その学生もきっとやるべきことをしっかりやって長年の夢を果たす分けですから,旅行の充実感・満足度もひとしおでしょう.これが学生のWin. 教員にとっても研究はそれなりに進むし学生の努力する姿・満足する姿をみて,これもWin!

岡:なるほどー お互いが幸せな状態になれますね.

宮:なお,一つ上の”できるヤツ”なら2ヶ月前には旅行のことを伝えて,それにあわせて研究の進捗をコントロールするでしょう.

岡:ぜひみなさん,使ってくださいね!

今回の学び For 教員

上記のスキットにおいて院生が夏休みについて打ち明けたあと,「えー 研究はどうするの~?これで間に合うのかなあ..M2のこの時期にそれはアリ い?」という「いやみ」や「愚痴」的にコメントするのは超NGワードだとおもいます. ”それは認められない”と思うなら「ダメだ」とずばっといいましょ う.認めるなら懐は大きく「やることはやっておけよ!」の一言でしめくくりましょう.そうでないと学生は混乱するし,せっかくの旅行が後味の悪い罪悪感を ともなってかわいそうですのでね.

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