大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員がイヤな言葉その5:どうしたらいいでしょう

スキット: 教員がイヤな言葉 その5


院生「○に関してはこうなんです.□についてはこうなんです.これらの関係がちょっと複雑でして..あ,あと△の影響もあるかも.」

教員「そうだね,■もあるんじゃない?」

院生「あ.そうです.本当に欲しいデータを得るためには,どうしたらいいでしょう?」

教員「・・・・・え??」


岡:このスキット,一見するとどこが問題かわかりませんが..?

宮:大問題です.学生が迷っていることは非常によく分かります.でも,解決策そのものを先生に聞いちゃいけませんよ~

岡:なぜです?迷っている学生さんがかわいそうじゃないですか?

宮:仮にこのMTGで先生が解決方法を提示したとします.そして,学生はそれをそのまま実行するでしょう.もし,それでダメな結果がでたらどうなります?

岡:先生を恨むかも:笑

宮:そうそう.どうしてもその結果を先生のせいにしちゃう気持ちがうまれちゃうでしょ? そうすると,次はどうなります?

岡:また先生に尋ねるか,あるいは,もう先生を頼らないか..あー,いずれにせよ,信頼関係の構築にはどんどん離れていきますね.

宮:そこが大問題といっているゆえんです.そこでこのマジカル・メソッドです!

選択肢

岡:選択肢,ですか...?

宮:スキットをご覧いただければすぐにわかります.どうぞ!


院生「○に関してはこうなんです.□についてはこうなんです.これらの関係がちょっと複雑でして..あ,あと△の影響もあるかも.」

教員「そうだね,■もあるんじゃない?」

院生「あ.そうですね.そこで,本当に欲しいデータを得るため3つの方法を考えました.A案,B案,そしてC案です.」

教員「ほうほう!欲しいデータを得るための目標は同じだけど3つの異なるアプローチ方法を考えてきたのだね.どれもよく考えてあるじゃないか!」

院生「そうです.そこで僕はこのA案が最もいいかなとと思うのですが,先生はどのように思われますか?」

教員「僕もA案が妥当だと思うね.よし.それでやってみよう!」


岡:すばらしいですね!議論しているって気がします.

宮:ここで大事なのは,先生に”考えさせない”ということなんです.

岡:確かに!3つの案はいずれも学生が考えて先生は選択肢から選んだだけです.

宮:「考える」という作業はもっとも大事な知的作業です.これを教員にやらせてしまっては,学生自身はどこで成長するというのですか! 自分で考え,提案する.教員には「意見」のみを求めるのです.つまり,YesかNoかだけを問えば充分です.

岡:考えてみれば,その研究はその学生さんのものですものね.しっかりと自分で責任もって遂行しなきゃ!

宮:さらに言うなら教員は大変忙しく,四六時中研究のことが頭にあるわけではありません.頭の中は雑用ばっかり:笑.そんな教員に突然ディープな研究内容の把握を求め,かつ,重要な解決案を求めても決して有効な案がでてくるとは限りませんしね.

岡:おー そこまで言いますか.

宮:言います.

岡:いずれにせよ,選択肢として提示することで学生は自分で考え提案して成長できる.教員は短時間で研究を判断できる.まさにWin-Winの関係ですね!

宮:なお,さらに一つ上の”できるヤツ”なら,3つの案それぞれについてのメリットデメリットを明確にした表を作り教員に見せるでしょう.そこまでやればもうどこにだしても恥ずかしくない学生になります.教員の自慢です!

岡:みなさん,ぜひ使ってくださいね!

今回の学び For 教員

学生に考えさせるというのは教員にとって第一優先項目.ただ,その「考え方」までしっかり教えている方はなかなかおられません.「そんなことまでい ちいち教えるべきでない」というご意見も最もですが,時代が時代ですので..(笑&逃げ) 一つは,スキットのように選択肢をあげて考えさせる方法,あと は,ロジックツリー形式で問題を解決する方法が代表的かと思います.一度教えるだけでいいのです.それだけで学生は変わっていきます.もちろん,その思考 方法を身につけるまでには根気よく指導する必要はあります.でも,長期的には(学生の成長→研究の推進)につながる訳ですので,ぜひともがんばっていきた いものです!

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