大学研究室の歩き方講座

【スキット】教員がゼミ発表でいつも言うつっこみ その1:その方法で知りたいことがわかるの?

院生「では今から、△△氏による××の発見の過程についての発表を始めます。この研究においては、△△氏の共同研究者であった□□氏の研究ノートを、資料として用いました。え~最初は・・・」

教員「ちょっと待って。なんで□□氏の研究ノートだけを資料として使うことにしたの?××の発見は重要だから、他にいろいろと資料あると思うけど。。」

院生「あ、それは、□□氏が京都大学出身なので、京大に□□氏の研究ノートが多数保存されていたからです。」

教員「な、なんだと?!何でそうなるんだ!!」


岡:あ、今回は文系チックなスキットなので私もイメージしやすいです。それにしても、先生すごい怒りようですね。院生は、なんで怒られているのかよく分かっていないみたいですね。一応理由もちゃんと説明しているようですが・・・??

宮:甘い!この先生の怒りの理由が分かるようになってこそ、真の研究者です。

岡:え、そんなに重要なことなんですか?

宮:はい.個人的には僕の中で「激怒レベル」はかなり高いスキットです.

岡:そうなんですか?ではその理由を詳細に教えてくださいませんか.

宮:はい、これは研究者の心得として基本中の基本である、「知りたいことを知るための、適切な方法を取っているのか」に関わる重要な会話なのです。

岡:「知りたいことを知るための、適切な方法」ですか・・・??うーん、良く分かりません。詳しく教えてください。

宮:じゃーん!では、このマジカル・メソッドを!

目的志向な思考

岡:目的志向な思考,ですか...? 余計にわかりません.

宮:スキットを見た後に解説した方が良いかもしれませんね.ご覧下さい!


院生「では今から、△△氏による××の発見の過程についての発表を始めます。この研究においては、△△氏の共同研究者であった□□氏の研究ノートを、資料として用いて、□□氏が××の発見においてどのような役割を果たしていたのかを明らかにすることを目的としました。」

教員「うんうん。なるほど。□□氏の研究ノートには、どんな内容が書いてあるの?」

院生「はい、大きく分けて、□□氏の日記にあたる内容、××の発見の進行状況にあたる内容の2つです。幸いなことに、□□氏が京大出身であったために、□□氏の研究ノートの内容は全て、京大の図書館に保存されていました。」

教員「なるほど。他の研究者の資料も参考にすると、より確実な結果が得られそうだね!」


岡:すばらしいですね!先生は、納得してくださったみたいですね。アドバイスまでくれました!

宮:はい、今回のスキットでは、目的と方法に一貫性がありますよね。だからです。

岡:確かに...

宮:研究者のモチベーションの一つに、何かを明らかにしたい、新しいことを知りたいというものがあります.これはすごくピュアなものなのです。最初のス キットで教員は、そのピュアな心を「入手しやすい資料だけでいいや」という怠け心で汚されたような気持ちになったのではないでしょうか。

岡:なるほど・・・先生が怒っていたのも納得です・・・。

宮:大事なことは、「自分はこの研究を通じて何をしようとしているのか」を突き詰めて考え、それを中心にして手順を組み立てていくことです。

岡:それが「目的志向の思考」なんですね。

宮:この目的志向の思考は研究に限らずいろんな場面で役に立ちますよ。なお,一つ上のできるヤツなら考え得る選択肢をすべて挙げてそれぞれについて説明す るといった,いわゆるオプション思考法を用いるでしょう.例えばこういった感じです.「××を調べるために,3つのアプローチ方法があると考えました.そ れぞれは・・です.で,今回は○○を選択しました.理由は..」.ぜひトライしてみてください.

岡:みなさんぜひ使ってくださいね!

今回の学び For 教員

最近思うんですけど,我々は学生たちに教えもしないことを期待してしまっていませんか? 正直言って,大学教員になった我々のような人種は極めて特 殊な部類です.おそらく院生時代から「自ら問題を発見し解決する重要性とその楽しみ」を感じていたのではないでしょうか? 学生を自分と同じように思って いては決して学生は成長しません.自分と同じ方法で学生も楽しみを見いだせる訳ではないのです.私の場合,まず「教える」ことに専念します.我々にとって あたりまえのことも一度はしっかりと「言う」.そうすると,二度目からは学生もちゃんと意識して変化が生まれてきますよ.優秀な学生たちですから.

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